白石晃士監督「近畿地方のある場所について」感想。話題のホラー映画を観た正直な感想

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先日、白石晃士監督の最新作「近畿地方のある場所について」を観てきました。久しぶりに菅野美穂さんを大画面で拝見しましたが、相変わらず見目麗しい容姿で本当に素敵でした。昔から好きな女優さんだったので、それだけでも映画を観に行った甲斐があったと思えました。

近畿地方のある場所について

この作品は、小説投稿サイト「カクヨム」で連載され、SNSを中心に爆発的な話題となりました。一人のライターがオカルト雑誌の編集者と「ある場所」に潜む怪異を追う物語で、リアリティのあるドキュメンタリー形式で描かれています。

あらすじ(映画.comより)

とあるオカルト雑誌の編集者・佐山が突然行方不明になった。彼の行方を追うフリーライター・瀬野千紘(菅野美穂)と雑誌編集者・小沢悠生(赤楚衛二)は、佐山が消息を絶つ直前まで調べていた謎を探ることになる。

調査を進めるうちに、幼女失踪事件、中学生の集団ヒステリー事件、都市伝説、心霊現象など、様々な未解決事件や怪現象がすべて 「近畿地方のある場所」 につながっていることが判明する。

二人は佐山が残した資料を手がかりに、禁忌の場所へと導かれていく…

公開情報

公開日: 2025年8月8日(金)全国公開
配給: ワーナー・ブラザース映画
監督: 白石晃士(『ノロイ』『サユリ』)
脚本: 大石哲也、白石晃士
脚本協力: 背筋(原作者)
音楽: ゲイリー芦屋、重盛康平
主題歌: 椎名林檎

主要キャスト

菅野美穂 (瀬野千紘 役)オカルトライター。失踪した編集者の行方を追う主人公
赤楚衛二 (小沢悠生 役)雑誌編集者。千紘の同僚として共に事件を調査

背筋

背筋(せすじ。はいきんではないです笑。)は、現在日本で最も注目されているホラー作家の一人です。2023年にデビューした新星で、その驚異的な成功により日本のホラー文学界に大きな衝撃を与えています。
・職業: ホラー作家
・活動期間: 2023年〜
・デビュー作: 『近畿地方のある場所について』(2023年)
・特徴: モキュメンタリーホラー(実録風フィクション)の手法を得意とする

最近はYoutubeで映画の宣伝も兼ねていろんな番組のゲストに出ていますね。初めてご尊顔を拝見した時はかっこよくてびっくりしました。そして頭の良さそうかつ品の良い話し方をされていますね。白石監督の「近畿地方〜」は「ノロイ」にインスピレーションを受けたそうです。その白石監督によって映画化されるとは数奇な運命ですね!

白石晃士監督ならではの演出

さすが白石監督というべき演出が随所に光っていました。特にラストの描写では、ダイナミックかつ独特のCGっぽい怪物と触手が印象的で、白石監督の世界観が存分に発揮されていました。

また、「コワすぎ!シリーズ」にも出演していた木村圭作さんと久保山智夏さんが出演されているのを見て、思わずニヤリとしてしまいます。宗教の信者の中に菅野美穂さんがいると判明したシーンでのアップの仕方も、まさに「コワすぎ!シリーズ」らしい手法でニヤリポイントの一つでした。

幽霊に対する物理攻撃も健在で、コワすぎ!口裂け女捕獲作戦を想起させるように、菅野さんが赤い女を吹き飛ばしてしまいました笑

特に面白かったのは、かいばしら(九十九喜助)さんがヒトバシラ役で出演していることです。これはメタ的に非常に面白い配役で、九十九喜助さんはもう完全に白石ファミリーの一員ですね。個人的には沖田遊戯さんにも出演してほしかったところです。

良かったポイント

やはり白石イズムが存分に発揮されていたのが一番の魅力でした。お祓いのシーンでは、監督のお家芸(笑)である「ゲロ」がしっかりと登場しました。そういえば、戦慄怪奇ワールド コワすぎ!で吉田悠軌さんのゲロがアップになってリプレイされた時は、思わず笑ってしまいました。

私は原作をカクヨムで読んでいたのですが、原作で一番気に入っていた両手を上げる母親がしっかりと映画にも登場していました。ベランダに立つ姿はかなり怖くて良い演出でした。また、その息子と思われる首が長くなってしまった男の子の描写も秀逸でした。自分で腕を使って自らの首を持ち上げて「前方」を見るその異様な姿は、さすがの白石監督といったところです。

トンネルのシーンで親子に挟まれるシーンは、「呪怨」の伽椰子と俊雄を彷彿とさせ、二人のコンビネーションが親子の絆を感じさせるシーンでもありました。

失踪した編集者の奥さんの異様な姿は、シャマランのVISIT(ヴィジット)のババアにインスピレーションを受けたのかなって感じで、あのクモみたいな素早い動きの気持ち悪さは最高でした。

惜しかったポイント

原作が小説であり、週刊誌や2ちゃん(5ちゃん)のログ、ブログ・ウェブニュースといった様々な読み物の媒体を取り上げ、文章を読むことで得られるゾワゾワとした恐怖感を演出していました。しかし映像化により、映像を映画内で断片的に紹介する形式になってしまいました。

断片的な映像に繋がりがあることを発見していくのが本作の恐怖ポイントなのですが、映画内での短い映像の”乱発”による手法では、そうした「繋がり」を発見した際の怖さが半減している気がします。原作が連載形式だったことを考えると、毎週配信のドラマ形式でやるのも良かったかもしれません。例えば、テレ東のTXQ FICTIONのような形式で制作すれば、ファンの考察も相まってより面白くなったと思います。テレ東と「近畿地方のある場所について」は相性が良さそうですね。ついこの間の魔法少女山田もとても面白かったですし。

アナイスさんもご指摘の通り、「おーい」の言い方がもっと人間っぽい、普通のおっさんの声だった方が怖かったと思います。あと、アダルトサイトを閲覧してみてコメント欄を見るというシーンも再現しやすいように思いますが、なかったですね。原作の最初のあのコメント欄の気持ち悪さったらなかったです。

また、原作にあった若い女性の話で、彼氏が電話相手にひたすら謝っているというエピソードがカットされていたのが残念でした。物件探しの話で、不動産サイトで同じ物件の写真を見ているはずなのに、一定時間経った後に同じ写真を見ると変化があるというシーンも省略されていました。この不動産サイトの場面は映画化もしやすく、映像化に向いている怖いシーンになり得ただけに惜しいと感じました。

ホラー映画の主題歌について

今作では椎名林檎さんが主題歌を担当していますが、個人的に、(私だけかもしれませんが)ホラー映画においてポップスのアーティストの、比較的ダークな雰囲気が漂う歌以外の楽曲を起用するのは違和感があります。椎名林檎さんはアンニュイかつダークな雰囲気を持つアーティストなので違和感はだいぶ薄れるものの、今回の楽曲もエンドロールで流れることによって映画の世界から離脱するような感覚になりました。ネットでは椎名林檎さんの歌が映画にぴったりという意見も見かけましたが、本当にそうでしょうかね?

「みなに幸あれ」でのベボベの「Endless Etude」も合っているか微妙だと感じました。ただし、リングの主題歌HIIHの「feels like “HEAVEN”」は例外です。これは映画の雰囲気に合っているというより、リングといえばあの曲というイメージが確立されています。それにしてもHIIHって何者なんでしょうね。いわゆる一発屋だったのでしょうか。「来る〜・きっと来る〜」という歌詞も、実は「Oooh きっと来る」が正しい歌詞で、多くの人が間違えているというのも興味深いポイントです。歌詞的にはリングの内容に合っている気はします。

総じて、白石監督らしさが存分に味わえる作品でした。原作ファンとしては映像化による変更点に少し物足りなさを感じる部分もありましたが、久しぶりに菅野美穂さんを大画面で見られただけでも満足です。

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